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プラネタリウムのヒミツをそっとつぶやきます。

星も映ります

今やプラネタリウムは星だけでなく、様々な映像や景色を映し出すことができるようになっています。星も映る、と言った方がむしろいいかもしれません。
この夏、プラネタリウムでご覧いただこうとご用意しておりますのは「SL」、つまり蒸気機関車です。JR西日本の京都鉄道博物館で動態保存されている「C-62・スワローエンゼル」をさまざまな角度から大迫力でご覧いただくプログラム「蒸気きかんしゃの1日」。撮影は関西テレビと和歌山大学によるものです。実際にどのように映るのかというチェックのため、ソフィア堺のドームで映り具合の確認を繰り返しました。
この大きなドームスクリーンいっぱいに映される機関車の雄姿!前も後ろも右も左も見逃せない10分間のプログラム。音声も5.1chの立体音響で、久々にウーハーをめ一杯鳴らしておりますので、機関車が動き出す大迫力が感じられると思います。
ファミリー番組枠にて「まくまくんの星空大冒険」との同時上映です。子ども向けの時間帯の上映なのですが、迫力がすごすぎて泣いちゃう子がいるのではないかとか、お父さんが夢中になってしまうのでは、など不安要素も抱えながらのスタートです...。

もうひとつ。ソフィア堺オリジナルプログラムとしてご覧いただくのは「ヒーリング・プラネット〜百万石の星空」。「いつもとはちょっと違った星空を」というコンセプトで、これまで沖縄や和歌山の星空をテーマとしてご覧いただいておりました。
今回、石川県庁の全面協力を頂き、現地ロケを重ねて石川県のさまざまな景色を舞台に星空をご覧いただく番組が仕上がりました。なんで石川県なのか?というとこれは単純で、スタッフに石川県人がおりまして実家に帰るついでに撮影をしたという事情によるものです。そこにたまたま石川県庁からのお声がけをいただくご縁がありまして、またコニカミノルタプラネタリウム社の制作チームからもステキな撮影素材をご提供いただき、プラネタリウムの番組が出来上がりました。ひと味違う星空がご覧いただけますよ!
ロケ地一覧
・千里浜からの夕日
・白山スーパー林道〜千枚田〜兼六園〜機具岩〜田んぼ〜ひがし茶屋街〜石崎奉燈祭
・いしかわ百万石物語(石川県制作)
・七尾湾からの朝日

プラネタリウムでまったく新しい体験のひとときをお過ごしいただけるよう、新しい取り組みを他にも進めております。お楽しみに!


温故知新

プラネタリウムの入り口で周囲を見渡すと、展示フロアのなかにデン!と立つプラネタリウムの機械が目立ちます。
市内協和町にある堺市立人権ふれあいセンターにかつて置かれていたプラネタリウム「MS-10」です。2011年にプラネタリウムの営業を休止し、現在は当館に移設・展示されています。
近隣のプラネタリウム施設においても、旧世代の機器を展示しているところはときどき見かけます。でも当館の展示はちょっと違います。ナント動く!
まだ電源が入ってて、緯度軸・経度軸のモーターのスイッチを設けてあるのです。
星もちゃんと映りますよ。展示室が明るいのでちょっと見えにくいかもしれませんが。
こんなふうに旧設備を動態展示している施設はあまりないですね。
ご自分の手で機械を動かしてみたい、という方にオススメです。

展示されているのはコニカミノルタプラネタリウム株式会社の「MS-10」。鉄アレイのような形の2球式プラネタリウム。鉄アレイの丸い部分が恒星を映し出す装置で、細くなった持ち手の部分が惑星投影棚です。
このスタイルの設備は「ツァイス式」とも呼ばれます。動き方をじっくりと観察すると、独特のスタイルにもちゃんと意味があるのだとわかります。

最近はコンパクトになった1球式のプラネタリウム機器が増えています。今当館で活躍しているインフィニウムβもそうです。観客席からの視界を妨げない新しい形の機械ではあるのですが...でも、やはり2球式のプラネタリウム「らしい」スタイルの機械がカッコイイなぁ、と思うのですね。皆さまいかがでしょう?


雷コワイ

地震・雷・火事・親父。プラネタリウムが怖いのは「雷」です。
今年の夏は割と落雷が多かったですね。ゴロゴロ!と雷が来るとプラネタリウムは気絶してしまうのです。
というのは落雷による瞬間停電や電気ノイズは、プラネタリウムのコンピュータや通信系の機器に大きなダメージを与えます。映像が出なくなったり、操作不能になったり、ランプが破裂したり。最悪、データが全て消えてしまうこともあります。
ウンともスンとも言わないシステム、真っ暗闇に取り残されるお客さま、冷や汗を流す担当者。ドームの中にいると、なかなか外の天候の急変がわかりません。防音対策がキチンとしていますから、外の「ゴロゴロ...」という雷鳴も気づかないことがよくあります。
ですから私たちもいきなりビックリしちゃんですね。

瞬間停電・瞬時電圧低下などと言いますが、0.5秒くらいの一瞬だけ停電することが、落雷の際にはよく見られます。蛍光灯とか普通の電気機器ならばチカチカっとするだけで大きな影響はありませんが、コンピュターの類にはこういう急な電源断は機械に大きなダメージをもたらします。
今年の夏は落雷が数回と、落雷とは関係のない瞬間停電なども起こったりして、私どもの投影にも影響が出ることがありました。

特に落雷の場合は、一度ですまないことが多いですね。ピカ!ゴロ!と30分以上ずっと落雷が続き、瞬間停電が幾度も連発することがあります。こんなときにはもうお手上げです。残念ながらプラネタリウムの投影はお休みにせざるを得ません。無理に投影を続行して、取り返しのつかない故障を招く可能性もありますからね!

一応、最重要なコンピュータ類には無停止電源供給装置という設備を用意しています。電圧が低下すると瞬時に内蔵バッテリーに切り替えて電源を供給し、コンピュータ類を守る機械です。でもこの電源供給装置がカバーできる範囲はプラネタリウムのシステム全体のうちほんの一部でしかありません。あちこちに設置された全ての機器にこの装置を取り付けるわけにもいかず、通信ラインが一箇所やられるだけでもシステム全体の動作がおかしくなってしまいますから...。

雷雨もそう長くは続きません。雷が落ち着いてくれば、投影は再開です。
ですので、こういうときにはどうぞご容赦くださいますようお願いします。

関西電力:雷情報のページ
http://www.kepco.co.jp/energy_supply/supply/kaminari-info/raiun.html

そんなこともあって、投影の前には窓際から空模様をチェックするようにしています。
さて今日の雲の様子はどんな感じかな...。


新テクスチャ

ソフィア堺には「スーパーメディアグローブ2」というデジタル式のプラネタリウムシステムが設置されています。地球上で見る星空だけでなく、観測地を他の惑星に移して空を見上げたり、太陽系から遠く離れた場所で星座の形が違って見えるところなどを再現できるのが新しいところ。この機能を活用した番組「Cosmic Journey」などをご覧頂いていることは先のコラムでもご紹介した通りです。

この新型システムが設置されたのが2012年3月。それからもうすぐ5年が経過します。日々、宇宙の様々な研究成果が発表され、魅力的な画像や映像が世界中の研究機関から公表されていますので、そういった新しいデータをどんどんシステムに取り入れていきたいと考えています。

例えば、昨年の夏には冥王星が大変な話題になりましたね。NASAの探査機「ニューホライズンズ」の観測によって、今までは点としてしか見ることが出来なかった冥王星のクローズアップされた姿が様々なメディアで紹介されました。
ところが、プラネタリウムで出てくる冥王星は、これまでどおりの「想像図」...。月とあまり変わりがないような姿の天体でした。こりゃいかん!プラネタリウムでも、新しいデータを映さなきゃ!

NASAが発表した冥王星地表のデータを用いて、プラネタリウムにおいても「ニューホライズンズから見下ろす冥王星」の姿が実現できました。このデータは天文教室「冥王星」で紹介しています。
同様に、ケレスや水星や金星などもデータを更新しています。太陽系の天体の姿はどんどん新しくなっていますからね!

 → ©NASA
惑星地表を表現する素材はタテヨコ比1:2の横長長方形の画像データです。テクスチャと呼びます。世界地図を天体球面に張り付けるイメージですね。
当然科学的に重要な観測資料なので、データ量も膨大なものになります。システムの仕様に合わせてデータを変換、ドームでの映り具合をチェックしながら新しい姿の天体を増やしています。

このタテヨコ比1:2のデータというのは、最近VR業界でもよく見かけるものになってきました。エクイレクタングラー形式と言います。PSVRが話題になった昨今ですが、ヘッドマウントディスプレイで360度の視界を提供するような映像素材がこの形式です。つまりはプラネタリウムのシステムには割と都合がいい素材だということ。
火星の表面に立って見た光景や、スーパーカミオカンデの内側の姿、小笠原諸島に生まれた新しい火山島の様子など、私たちが見たことのない景観をお見せ出来ないかと、少しずつご用意しているところです。

プラネタリウムは日々進化を進めています。


天気予報

今日はプラネタリウムではなく、天文台の話題です。 毎週「天体観察会」を実施しておりますが、いつも気になるのが「お天気」。曇空ではさすがにどうしようもありませんから。
地勢から考えますと、堺市の西側が大阪湾です。海から湿った空気が海風に乗って上陸して、雲を形成するのがちょうどこのあたりです。雲の影響からは逃れにくい土地柄ではありますね...。
ご承知のとおり、観察会の日は17時の時点で天候を判断し、実施/中止を決定してお知らせしています。ですから観察会の日はそわそわした担当者がお天気サイトの画面とにらめっこをしつつ、ウンウンうなっております。刻一刻と予報が変わったりしますので。

まずチェックするのは「GPV気象予報」のサイト(http://weather-gpv.info/)
雨量雲量の予報が秀逸です。「19時頃は曇りがちだけど、20時過ぎに通り雨が来てその後スッキリ晴れそう」なんて予想が立てられます。『GPVとは気象庁や米国海洋大気局等の気象予測モデルをスーパーコンピュータで計算した予測値を指します 』と本サイトの説明文にありますが、スーパーコンピュータ様も万能ではなく、予想が外れることも...。

そして「ひまわり8号リアルタイムweb」のサイト(http://himawari8.nict.go.jp/)
気象衛星ひまわりから送られてくる衛星画像が閲覧できるサイトです。どんな雲が沸いて、どんなふうに動いていくのかがわかります。「西からの湿った風が淡路島に当たって雲を作ってこっちに流れてる」なんてことがわかります。
こちらのサイトの画面は時々展示フロアでもご覧頂いています。

時刻が近づいてくるとチェックするのが「オークレーダー/大阪市降雨情報」(http://www.ame.city.osaka.lg.jp/pweb/)
雨の情報が一番詳しくわかるのがこちらです。これは天気予報ではなく、現在と過去の雨量データが見られるサイトですが、大阪近辺においてこの先どのように天気が変化していくのかがわかります。「河内長野の方で降ってる雨がこっちに来てるけどギリギリそれそう」なんてことがわかります。ゲリラ豪雨が予想される夏の時期には特に気になるサイトですが、これは大阪限定の情報ですね。

最近話題なのが「Windyty」のサイト(http://www.windyty.com/)
ここでは高層大気の流れがチェックできます。望遠鏡で惑星の模様を見る際に邪魔になる「空気のゆらゆら」、いわゆるシンチレーションの原因となるジェット気流の様子が伺えます。「今日は気流が安定しててすごく見えそう」なんてことが予想できるわけです。
今年の夏はジェット気流が西日本から外れた場所に位置する傾向があり、おかげで惑星の模様が非常によく見えました。

他にも気になるサイトはありますが、主に私どもが参考にしているのがこれらのwebページです。あちこちの情報を元に、スタッフによる侃侃諤諤の議論を経て、観察会の実施/中止を決めています。
残念ながら予想が外れることも。「実施したけど星がひとつも見えない」「中止したけど晴れてる」...。予報技術がどれだけ発達しても、予想が外れるときは外れます。ごめんなさいね。


ドームマスター

プラネタリウム用のカメラは魚眼レンズが付いていて、360度ぐるっと全周が映るようになっています。一昔前は結構大きなサイズのカメラで、持って歩くのも一苦労だったのですが、最近はずいぶんコンパクトになりました。なんと手のひらサイズ。
このカメラを使って、プラネタリウム用の写真や映像を撮影しています。

例えばお隣の公園で撮影した、桜の季節の写真。これをドームに大きく映し出すことで、「あたかもそこにいるような」体験ができるのがドーム映像の面白いところですね。

360度をぐるっとカバーする、プラネタリウムの映像素材は「ドームマスター」と呼ばれます。円形のフォーマットで、中心がドームの天頂、画面の下端が正面で上端が背後ですね。慣れるまでは大変ややこしい描画方法の映像なのですが、現場では毎日この映像とにらめっこをしています。

映し出すスクリーンは直径18mの大きなドームスクリーンですから、映し出す映像素材も大変大きなサイズ・高品質のものでなければいけません。番組用のドームマスタデータは4096ピクセル四方の解像度の映像素材です。これは最近話題の「4Kテレビ」用素材の2倍相当の大きさの映像となります。
1秒間に30コマの画像を連続して映し出すことでプラネタリウムの映像が出来上がります。つまり何が云いたいのかと言うと、スゴくファイルサイズが大きいということ。ハードディスクがあっという間に埋まってしまいます。作るのも大変ですが、ファイルコピーをするだけでも一仕事になっちゃいます。ソフト制作室にはハードディスクの山が...。

例えば今、幼児向け番組のデータが格納されているハードディスクの中身を別のハードディスクにコピーしているのですが、そのコピー処理が終わるのに丸1日かかります。
ファイルコピーという処理は意外とOSの負荷がかかるので、処理に失敗することもままあります。そんなこともあって、プラネタリウム用のコンピュータはいつもブンブン唸っています。

ドームにどんな映像を映せばいいのか?試行錯誤を続けています。
でも、大きな映像を作って、大きなスクリーンに映し出すというのはすごく気持ちがいいですよ。


プラネタリウムで宇宙探検

ソフィア堺のプラネタリウムはとても豪華なシステムになっています。
まず、「インフィニウムβ」。光学式のプラネタリウムでシャープな星を映し出します。きらめく鋭い星像、また星の色や天の川などをリアルに表現しています。
そして、「スーパーメディアグローブ2」。こちらはデジタル式のプラネタリウムです。星の像の美しさは光学式の機種に劣りますが、地上で見た星空のみならず、他の惑星から見た星空や、太陽系を飛び出して他の恒星系から見る星座の違い、さらには50万年前の星空なども見れちゃう最新のシステムです。
(実はさらにもうひとつあって、「MS-10」という旧型機もドームの入り口そばにあります。なんと動態展示なのですがこれはまた別の機会に)

ソフィア堺ではさまざまなプログラムをご用意していますが、投影では「インフィニウム」「スーパーメディアグローブ」ふたつのシステムを使い分けながら解説をしています。
たとえば「プラネタリウムで宇宙探検」。本稿を記しているこの5月現在では「火星大接近編」をお送りしています。地球を飛び出して、お隣の惑星・火星に降り立つと見えるのは...ピンク色の空!地球を離れた他の天体では、青空が見えるわけではないのです。もちろん日が暮れた後の星空もご覧いただけますよ。火星では月もふたつ!見えます。
本番組ではさまざまな天体をこれまでご紹介してきました。あちこちで火山が噴火している木星の衛星イオの景色。明らかになった冥王星とカロンの地表。はやぶさ2の向かう小惑星リュウグウなども!こういった演出はデジタルプラネタリウムならではの表現です。

今制作中なのは、和歌山県の日高町で見られる夜空。堺市の小学生たちが臨海宿泊学習を行う堺市立日高少年自然の家という施設があって、星座の学習などもそこで行われるのですね。意外と山が近くにあって、アンタレスが見えなかったりします...。星はインフィニウムで、そして周囲の景色をスーパーメディアグローブで映し出すことで、その場でしか体験できなかった光景をドームで投影します。
現在、ドームで試写を繰り返しながら、山の高さなどを忠実に再現すべく調整しています。

これからもさまざまな星空をご用意いたします。プラネタリウムで美しい星空、ダイナミックな星空をお楽しみに!


音はどこから?

プラネタリウムで大事なところってどこでしょう?星の数?ドームの大きさ?
それはそれで大切なのですが、「音」って意外に大事。番組の迫力ある音声や、静かなBGMや、そして星座解説の声。これみんな「スピーカー」がないと聞こえないのです。
ところで、プラネタリウムのスピーカーってどこにあるんでしょう?

プラネタリウムのドームに入ったら探してみてください。スピーカーがどこにあるかって。
あれ?どこにもない???

実は、ドームの裏側にスピーカーが設置されています。その数なんと10台も!ぐるっと客席を取り囲むようにいくつものスピーカーが設置されているのです。
プラネタリウムの解説が始まったら、耳をすませてみてください。解説の声はどこから聞こえるでしょう?聞こえる方向にスピーカーが隠れています。でもよくよく聞いているとわかるかもしれません。BGMは違うところから聞こえる!
さらにさらに、番組を見ているとときどき後ろからも音が出ているのがわかります。あんまりやるとびっくりするお客さんがいますので、控えめに出していますけれど。
時々、ズズーンとお腹に響くような迫力ある音も聞こえます。これはウーハーという低音専用のスピーカーから出ています。

解説の声はセンタースピーカー(どまんなか)。BGMはフロント右左(前方ちょっと脇)、それからリヤ右左(後ろ)、トームてっぺん近くのトップスピーカー。これらを駆使して、いろんなところから音が出ているように聞こえているんです。
前からしか音が出ないなんて面白くないでしょ?

始まる前の、ドームに入場しているときは、場内は明るくなっていますから、白いドームスクリーンをよくご覧になってみてください。うっすらと暗くなっているところがあちこちに見えます。「音」は空気の振動ですから、スピーカーの近くのスクリーンはブルブル震えることで静電気が生まれ、ホコリを吸い寄せてしまうのです。だから、スピーカーの位置もよく見たらちゃんとわかります。
プラネタリウムに来たら、そっと耳を澄ませて、いろんな音に耳を傾けてみませんか。



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